今回は、BOSCH女満別テクニカルセンターの所長、下田研さんにお話を詳しく伺い、テストドライバーの檜山彰さんにコースでテスト走行を見せてもらいました。
下田所長:現在は、80名ほどが働いています。そのうち設計チームは60名ほどが横浜から来て、長期滞在しながら常駐しています。私自身は、センターが開設した次の年に赴任し、実験担当になりました。現在26年目ですが、9年前から、テストコースの管理にシフトし、所長に就任しました。
雪の路面を作ったり固めたり、氷の試験路を作る作業を地元の「めまんべつ産業開発公社」にお願いしています。大空町の農家のみなさんがテストコースをメンテナンスしているんです。一年を通じて、必要な人手を公社が手配してくれています。地域の関係性が根付いた背景には、農家さんや大空町の役場のみなさんの協力があり、今も継続しています。世界中のセンターを見ても、このような形で運営しているのは私たちのテクニカルセンターだけです。
私たちBOSCHは、車の製品を作る上で、実際の車を使った実験を繰り返すことで性能を高めていきます。以前は、各国のテストコースで開発していて、昔はヨーロッパのテストコースに行っていました。近年では、各国でビジネスを進めるようになったので、それぞれの地域に合わせたローカライゼーションにシフトしたんです。
ABS(アンチロック・ブレーキシステム)の製品の開発からスタートしましたが、現在はESC(横滑り防止装置)が主流になっています。レーダーやカメラを使った衝突防止機能の開発もしています。また、燃費の関係やエンジンが電気に変わることでモーターでブレーキ力を出すことを提案し、開発しているIbooster(電動ブースター)の実験も増えています。
私自身がなぜ就職先に選んだかというと、当時ABSが世の中に出始めた頃で、新しい機能の開発に携わりたかったんですね。BOSCHが世界でパテントを持っていた技術があり、日本ABSがBOSCHと統合した時期でもありました。自分自身が北海道の留萌(るもい)出身ということもあり、そのうち北海道に、と思っていた時に、女満別にテストコースができると聞きました。思っていたより、早く戻ってこれたという実感があります。ぜひここで働きたい、という方もいるかもしれませんね。まずBOSCHに応募して、運良く赴任できたら…。ご応募お待ちしております。
一つだけ、役場のみなさんに希望を伝えるとしたら、住宅の手配についてです。借りられる物件数が少ないため、家賃も高いんですね。ほとんどの社員が、網走や北見から通勤しているのが現状です。家賃補助の上限があるので、苦しいところです。大空町に住んで、大空町で働けたら最高なのにと思っています。
テストコースには数多くのクルマが全国のメーカーからやってくる。
大空町とのつながり
網走湖湖上にテストコースを作って実験を開始してから何年か経過した頃、1956年4月に米軍から返還された飛行場用地を大空町(当時の女満別町)から紹介され、現在の女満別テクニカルセンターの建設が決定。何度かの拡張工事を経て、コースを拡充後には63万平方メートルとなり、従来の2倍の広さになりました。
BOSCH 女満別テクニカルセンター
1911年にドイツのボッシュ・グループが日本に進出してから、2023年時点で112周年を迎えます。32の日本国内の拠点で、自動車、産業機器などのサービスや製品を開発しています。拠点の一つである「BOSCH 女満別テクニカルセンター」では自動車の安全性を高める技術開発と実際に走行テストを行っています。
住所 | 〒099-2371 北海道網走郡大空町女満別中央 322-4 |
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※ テストコースの一般公開はしていません。 |