50 年かけて育てた町の名所を守り続ける

まもなく50周年を迎える「ひがしもこと芝桜公園」は、花好き農家の一人の若者が、終戦直後に庭に植えた一握りの株から始まった芝桜の丘です。藻琴山の麓にあり、今では10ヘクタールの広さを誇る芝桜の名所となりました。5月中旬から下旬にかけて、まるでピンク色の絨毯を一面に敷き詰めたかのような芝桜の絶景を見ようと、毎年、国内・国外から7万人を越える観光客が訪れます。芝桜の開花時期には、今年、第40回目の節目を迎える、大空町の人気イベントのひとつ「芝桜まつり」が行われ、芝桜はもちろん、アトラクションやステージイベント、釣り堀や温泉などの園内施設を多くの人が楽しみます。

今回、ひがしもこと芝桜公園の運営・管理に関わるみなさんに、お話を伺いました。

田中さん :近頃は、開花の時期が1週間ぐらい早まっている印象です。その年によって前後しますが、今年は5月15日から20日頃に見頃を迎える予定です。見頃については、ホームページやSNSで芝桜の様子を投稿していますので、チェックしてください。公園の様子は年間を通して見ていただく事が出来ます。冬場は、フォトスポットで人気のピンクの鳥居が、雪景色に映えてキレイなんですよ。

2023年は7万2千人の方にご来場をいただきました。過去には、10万人に達したこともあります。来園者は、芝桜が見頃になる5月の１カ月間に集中しています。海外からのお客様も増えていて、昔から来ていただいているのは台湾の方、最近では、東南アジアや北米、ヨーロッパからの来園者も増えている印象です。また、今年は「道産子ギャルはなまらめんこい」というアニメの舞台となり、SNSで話題になりました。アニメの聖地巡礼をしたいファンのみなさんにぜひ来ていただきたいと期待しています。

芝桜公園内には、山津見神社があり、その参道にあるピンクの鳥居や、遊覧車から見える景色、頂上から見える景色がフォトスポットとして人気です。
また、撮影ポイントになる物を数箇所に設置しているので、探して撮影してSNSにどんどん投稿して欲しいですね。

芝桜まつりのメインは、なんと言っても芝桜ですが、多くのお客様に来ていただきたいので、今年は、ステージイベントにも力を入れました。キャラクターショーやファイターズガールも登場予定です。今年は初めて、子供も参加できるバブルサッカー(大きな風船の中に入ってサッカーをする)を開催します。また、園内・外には売店があり、ファストフードを中心に、地元産のハムやソーセージに、ひがしもこと牛、JAオホーツク網走の地場産品の試食販売など、ご当地グルメも楽しめます。その中でも、芝桜ソフト(ピンク色のソフトクリーム)は毎年大人気で多くの方に味わってもらってます。

芝桜まつりが始まる5月から、温泉や釣り堀、ゴーカートがオープンし、7月から9月にかけては、キャンプ場もオープンします。多くのアルバイトさんに来てもらっていて、人手が足りない部分は、「大空町の役に立ちたい」「地元の人達と触れ合いたい」と希望する大空高校生たちにも協力してもらっています。

今は、雪が溶けて間もないので、緑が無く茶色い状態ですが、これからどんどん葉が緑に変わり、ピンク色の花が咲きだします。

皆様に奇麗な芝桜を見てもらうために、準備とメンテナンスを、1年を通して行うため、管理事務所も、一年通して運営しています。数年前の干ばつと、芝桜の根を食べてしまうコガネムシの幼虫の大量発生が重なって、かなりの芝桜がダメージを受けて枯れてしまいました。残念ながら、ここ数年、満開宣言ができていない状態となっています。雪解け後の雑草取りから始まり、芝桜が古くなって枯れたところの補植や、株の植え替えをしたり、雪が降る前にはドローンで液体堆肥を散布する試みも2年続けて行っています。今後は、固形肥料もドローンで散布することを考えています。

ここ3年ほどは、補植するための苗畑でも芝桜の株が足りなくなっています。2年前から10月頃に町民ボランティアの方々にご協力をいただいて、取り寄せた芝桜の苗植えを行って株を増やし、公園の芝桜の植え替えをして、芝桜を元気にする努力をしています。

雪解けから10月まで、芝桜の植栽を手入れをするスタッフ、通称「芝桜レディ」の皆さんにも、お話を伺いました。

芝桜レディ:東藻琴で芝桜の維持管理をするようになって、人の入れ替わりはありますが、30年ほどたちます。芝桜は町の財産なので、今後も続けていけるように、後継者につないで行きたいです。

雑草は、花に隠れているので、お客さんからは見えません。でも、雑草が強いと芝桜が弱ってしまい、見栄えも悪くなります。奇麗な芝桜を見ていただくために、芝桜が元気に育つために、一年中雑草と戦っている感じです。ここ数年は、芝桜の株が古くなってきて、手作業で雑草を取るのは限界かもしれないと感じています。

急斜面を這う様にすべて手作業で10ヘクタールの公園全体の雑草を抜く作業は、どれほど大変な事かとお話を伺うと、「横に動きながらだから、見た目ほどキツくないんですよ」と笑顔を見せてくれました。

朝日に輝く満開時期の芝桜

ひがしもこと芝桜公園は、昭和 52（1997）年、花好き農家の一人の若者（村民）の手から生まれ、町民はもとより、多くの旅行客に愛されてきました。
2027 年の開園 50 年に向けて、これからも町民に愛され親しまれる芝桜公園であり続けるため、時代に見合ったリニューアルを予定しています。

ひがしもこと芝桜公園

5 月中旬から下旬の満開時には、10 ヘクタール(東京ドーム約2個分)に及ぶ広大な丘陵が、ピンク色の絨毯を敷きつめたように、鮮やかなピンク色に染まる絶景が見渡す限り広がります。毎年5 月上旬から「芝桜まつり」が始まり、様々なイベントが催され、北海道を代表する春の名物スポットとなっています。