サラリーマン人生に一区切りをつけて、大空町に U- ターンした國府さん。大空町の将来を見据え、自分にできることを日々実行しています。大空フーズのソーセージが実現した、國府さんが考える大空町の在り方、そしてこれからについて、お話を伺いました。
いつから大空町に住んでいますか?
元々が東藻琴出身で、29 歳の時に U- ターンしてきました。現在 50 歳ですので、戻ってきて約 20 年になります。札幌で勤務してから東京に転勤となり、プログラミングをやっていました。当時、2000 年問題に対応するソフトの改修を担当していたので、それが一段落したら、地元へ戻ろうとは思っていました。親も老いてきて病気にもなり、札幌に弟もいましたが、ここは自分が戻るしかないと思いました。
戻ってきた時は、すぐに馴染めた気がします。小さい町特有のコミュニケーションの難しさなどは感じませんでした。そのタイミングで妻と出会い、結婚しました。明らかに人口が減っていく中で、10 年後にはこの町は無くなるかもしれない。その時は、まだ女満別と合併する前で、自分が生まれ育った町が無くなる、そんな 危機感がありました。
実は、合併には反対だったんです。でも一度決まったら、覚悟を決めて、会社のネーミングを「大空フーズ」に決めました。
大空町への移住について、どんな想いがありますか?
町の将来について、自分に何ができるかを考えています。離れていった同級生や仲間も多いですが、みんなに帰ってきてほしい、とは思っています。
東京のような大きな街は、誰かがいなくなってもあまり影響がありません。ゼロイチは生み出さない人生、多く物や人の中で、ただ消費している状況が嫌になったんですね。自分がいなくてもなんとかなってるじゃないか、と。役に立っている気がしなくなってきていたなか、当時は単身だったので、自分で決断して移住を決めました。
起業してソーセージづくりを始めたキッカケは?
まず初めに、ひがしもこと芝桜公園で自前の売店を出しました。1~2年続けていくうちに、海外からのお客さんが増えてきていたんです。特に韓国のお客さんが多くなっていて、せっかく遠くから来た人たちに外国の既製品を売っているなんて…という想いがありました。材料や品物は、すべて外部から仕入れていましたが、公園の売店も現在では売上の7割は地元のものになってきました。
地元にソーセージを作っている人たちが元々はいたんですが、生産が途絶えて 30 年経っていました。譲ってもらった機材と北海道畜産公社とのつながりを元に、2006 年にソーセージづくりをはじめました。始めてみたら大変なこともあり、最初は失敗ばかり。芝桜公園という販売先があったので、どうにか続けることができたのかと思います。
その後、店舗もオープンし、イベントで販売を始めると、知名度があがりました。SNS で発信して、近隣市町村でも出店しました。それが大変になってきたので、意を決してキッチンカーを作ったんです。そんな時に、コロナ渦に…。きつかったですね、やっと最近固定のお客さんがつくようになってきました。ベーコン、ハム、ソーセージを作っていて、店内で販売している商品は、キッチンカー専用メニューとは変える工夫もしています。
大空フーズのソーセージは、どこで食べられますか?
店内では、ホットドッグなど、調理したものが食べられます。商品は道の駅でも販売していますし、通販サイトもあります。今では、9割が直売のお客さんなんです。指名買いですよね。活動の場が増えて、うれしく思っています。あと、ふるさと納税はいいシステムだと思っているので、がんばって日々商品を作っています。
始めた当時に、「ちゃんとした材料でちゃんとつくれば大丈夫」と、アドバイスされました。奇をてらったことはしないで、ちゃんと作ること。私自身は、地元の材料で作らないと意味がないと思っています。すべては、ここに来てくれた人へのおもてなしの心から始まっています。大空町でも、地元で作られていないものが売られていた時代から、最近は地元産のものが増えてきましたね。
移住を検討中の方へのアドバイスはありますか?
田舎だからできないことは、なにもない。そう思っています。むしろ、都会よりも個人の活躍の場がある気がします。すぐに即戦力として重宝され、応援される立場になれると思っています。
大きい街なら、新入社員だと何年も下積みをさせられると思いますが、ここでは、すぐに中心人物にならなければいけないほど、人材不足。やりがいのある仕事がしたければ、大空町に来たほうがいい。移住や起業を応援してくれる制度もありますから。そのほうが、きっと楽しいですよ。
行政へのリクエストやコメントはありますか?
一足飛びに遠い場所をターゲットにするのではなくて、道内や近場からの移住を狙ってみては。例えば、ピンポイントでパン屋さん、寿司屋さんが欲しい、など具体的に町に必要な店舗やサービスを募集するのもありですよね。困っている町とやりたい人たちをマッチングすることは、田舎でも可能なんじゃないかと。
関わり方は様々あって、地域おこし協力隊に参加するのもいいですし、企業に入ってから独立する方法もあります。小規模な会社のスタートアップだって同士を繋げれば、大きな仕事にすることもできると思います。
大空フーズ
住所 | 〒099-3212 北海道網走郡大空町東藻琴 85 番地の 33 |
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電話 | 0152-66-2388 |
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編集部あとがき
取材の後に、大空フーズさんの店内で、あつあつのホットドッグをいただきました。おいしそうなメニューがたくさんで迷う…。選びきれず、2つオーダーした人も!パッケージ入りのソーセージやベーコン、ハムは、直売所で買えるほか、地方への発送もできるので早速ギフトとして送ったところ、大変喜ばれました。今ではリピーターになっている友人もいます。大空町のおいしいが、全国にもっと広がりますように。